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【レビュー企画】初めての水彩画用スケッチブックにもおすすめ！ヴィフアールに描いてみた！
こんにちは！ 「読む文具編集部」です！
早速ですが今回は、マルマン製品を実際に使ってみて気づいたことや使い勝手などを、レビューとしてお届けしたいと思います！
今回取り上げるのはマルマンが開発したオリジナルの水彩紙『ヴィフアール』です！
『ヴィフアール』は、水彩画をもっと身近なものとして楽しんでいただくことを目的に生まれた水彩紙で、リーズナブルでありながらしっかりと水彩技法を味わえる製品なんです。そのため、初めての水彩画用スケッチブックにもぴったり！ もちろん、作品づくりや水彩技法の練習など幅広く活用できるため、使う人を選ばないところも魅力と言えます。
この記事ではそんな『ヴィフアール』の特長を掘り下げていき、気になる描き心地をチェックしていきます！
水彩画を存分に楽しむなら、やはり「水彩紙」がおすすめ！ というのも、水彩紙には次のような特長があるからです。
● 水彩紙の特長1：紙が厚くてヨレにくい
一般的な筆記用紙の厚さはおよそ70〜80g/㎡ですが、水彩紙は180〜300g/㎡ほどの厚さになります。さらに600g/㎡前後の製品もあり、水で濡らしても簡単にはヨレたり波打ったりしません。また、水彩紙の多くは耐久性も兼ね備えており、重ね塗りを繰り返しても紙が毛羽立ちにくいのも特長です（紙の耐久性も製品により異なります）。
● 水彩紙の特長2：サイジング加工により絵具が表面に留まる
筆記用紙や画用紙の場合、水で溶かした絵具を塗るとすぐにしみ込んでいってしまいます。そうすると「にじみ」や「ぼかし」といった水彩技法を実践するのが難しくなります。水彩紙には水の吸収を遅くする「サイジング加工」が施されていて、これにより絵具が表面に留まり、さまざまな水彩画の技法をやりやすくしてくれるのです。※水彩紙のなかには「吸い込み」というサイジング加工がされていない製品もあります。
● 水彩紙の特長3：紙目によってタッチに違いが出せる
水彩紙の表面にはザラザラとした凹凸があり、同一製品のなかでもこの凹凸の大きさ違いのラインアップがあります（細目・中目・荒目など）。「細目」になるほど凹凸が小さく滑らかな表面になっていて、細かな描写がしやすくなります。一方、中目や荒目など凹凸が大きくなるほど紙表面に絵具が多く溜まり、色に深みが出てくるという特長があります。紙肌によってタッチに違いが出せるなど、選択肢が多い点も魅力ですね。そこで、ぜひ手に取っていただきたいのがこの『ヴィフアール』です！
● 『ヴィフアール』は最高級水彩紙のような描き心地の水彩画用スケッチブック！？
『ヴィフアール』の各製品は242g/㎡としっかり厚みがあり、高い強度を兼ね備えています。さらに、水はじきがよく「にじみ」や「ぼかし」といった水彩画の技法も存分に楽しめるなど、まるで最高級水彩紙のような描き心地を味わえるんです。細目・中目・荒目と3種類あるのはもちろん、さまざまなサイズも用意しているなど、ラインアップが豊富なのもうれしいポイント。リーズナブルでありながら、水彩紙に求められる要素を高い次元で網羅した製品と言えますね！ヴィフアールの魅力を簡単にお伝えしましたが、「描いた様子を見てみたい」と気になっている人も多いはず。ここからは、いよいよ『ヴィフアール』がどんな描き心地なのか、実際にどんな水彩紙なのかをレビューしていきます！
『ヴィフアール』にはリング製本・パッド製本・ブロック製本とありますが、今回はパッド製本の『ヴィフアール』を使用します。
こちらがパッド製本の3種類（細目・中目・荒目）です。
それでは早速、表紙を開いていきましょう。
左から細目・中目・荒目です。
ご覧の通り細目はとても滑らかな紙肌をしていますが、中目、荒目となるにつれて表面の凹凸が大きくなっています。製品によって同じ中目でも凹凸の大きさは異なりますが、『ヴィフアール』は比較的滑らかな印象です。
絵具で描いてみるとどういった違いが出るのか、ここからチェックしていきます！
まずは細目・中目・荒目の紙に太い一本線を引いてみます。
筆に含ませているのは同じ濃さの絵具ですが、細目のほうが少し淡いような印象で、中目・荒目になるにつれて色に深みが出ています。それだけ紙表面に絵具が溜まっているということですね。
ドライブラシでも描いてみた
続いて、筆に含ませる水の量を少なくして描く「ドライブラシ」を試してみます。
荒目になるほど塗れているところと塗れていないところが顕著になり、ラフなタッチになっていますね。紙肌の違いもよくわかるのではないでしょうか。
鉛筆で塗って『ヴィフアール』の紙肌をチェック
さらに3種類の紙肌をチェックするために、鉛筆でも塗ってみましょう。
鉛筆の描き心地としても、やはり細目は滑らかで、荒目は紙表面の凹凸を指先に感じます。見た目としても、デコボコ具合が一目瞭然ですね。
細目と比べて中目の紙肌は粗いのですが、それでも鉛筆で描いた際には滑らかさも感じました。そのため、鉛筆での下描きや水彩色鉛筆を使う際に、描きやすさを感じるかもしれません！
細い筆で描いてみる
鉛筆では細目・中目で滑らかさを感じましたが、細い筆の場合はどうでしょうか？
まず細目を試してみたら、スゥーっと最後までしっかりとした細い線を引けました。中目・荒目になると紙表面にのる絵具が多くなるせいか、線の後半は水分が減ってドライブラシのように紙の目が出てきていますね。紙の目が粗いと、やはり細かいタッチは少し難易度が高くなるように感じます。
ここまで実際に描いてみたところ、『ヴィフアール』は水（絵具）はじきが良い、といった印象を改めて抱きました。しっかりとにじみ止めの工夫がされているので、「ウェット・イン・ウェット」や「ぼかし（グラデーション）」といった水彩技法もやりやすそうです。それでは、重ね塗りや「リフトアウト」はどうなのでしょうか？ これらも実際に試していきましょう！
3種類の紙肌がある『ヴィフアール』ですが、ここでは中間の目の粗さにあたる「中目」を使ってレビューします！
最初に塗った色の上に濃くつくった同じ色、あるいは別の色を置くことでにじみを表現する「ウェット・イン・ウェット」。最初に塗った絵具の湿り具合でにじみ方も変わってくるため、実践するのにコツが必要な技法です。
『ヴィフアール』はサイジング加工によりしっかり紙表面に絵具が留まるため、このように「ウェット・イン・ウェット」で綺麗なにじみも表現しやすいです。
● にじみ方を画用紙と比較してみる
サイジング加工の有無によりどれだけにじみ方に違いが出るか、ちょっと実験してみましょう！ 最初に色を塗ってから約1分間放置し、別の色を筆でポンポンと置くと、『ヴィフアール』と画用紙でにじみ方にどのような違いが生まれるのか、という内容です。 まずは『ヴィフアール』からです！
『ヴィフアール』の結果
『ヴィフアール』でウェット・イン・ウェットを実施。ご覧の通り、広がりは小さいですがにじみが出ていますね。
1分間じーっと眺めていましたが、紙表面に絵具が残っている感じもありましたよ。
画用紙の結果
1分間放置したあと別の色を置いてみると、最初に塗った絵具が紙に吸収されて乾燥し始めているせいか、思ったようなにじみはできませんでした。また、『ヴィフアール』と比較して波打っているのも少し気になります。
本来はここまで放置して「ウェット・イン・ウェット」を行うこともあまりないかなと思いますが、『ヴィフアール』の底力を知る良い機会となりました！
3色を使って、「ぼかし」も実践してみたいと思います！
上下に重なるように2色を塗り、水で濡らした筆で境界をぼかしていきましたが、しっかりグラデーションも表現できていますね。ぼかしていくことでしっかり濃淡もつけられるため、修正もしやすそうです。
● 「ぼかし」も画用紙と比較してみた
「ウェット・イン・ウェット」のときと同じように、「ぼかし」も画用紙と比較してみます！ ここでもやはり最初に色を塗って1分間ほど放置し、水を含んだ筆でぼかしていきます。
『ヴィフアール』の結果
紙表面の絵具が吸収されたり、乾燥したりするとぼかしは難しくなってしまいますが、『ヴィフアール』なら1分間の放置があっても綺麗にぼかせました！
もちろん、放置しないほうがやりやすかったりしますが、それでもこの結果はさすがです！
画用紙の結果
画用紙の場合はぼかしが上手くいかず、筆でこすっているうちに紙に吸収された絵具が取り除かれ、リフトアウトした後のような状態に……。サイジング加工の有無により、これだけ結果に差が出るということですね。
ちなみに、部屋の湿度や気温などにより結果は変わってきます。「ウェット・イン・ウェット」や「ぼかし」を試す際は絵具をたらすタイミングや水の量などコツが必要なので、練習しながら感覚をつかんでいってくださいね。
『ヴィフアール』は「ウェット・イン・ウェット」や「ぼかし」がやりやすい水彩紙であるのと同時に、リフトアウトのしやすさも魅力です。
絵具が乾く前にティッシュでリフトアウトすると簡単に色が取り除けるのはもちろん、乾燥した後に水を含ませた筆でこすってリフトアウトした場合も、しっかり色が取れました。これなら修正のときも便利ですね！
最初に塗った絵具をしっかり乾燥させてから次の色を塗り重ねる、「ウェット・イン・ドライ」も実施。
リフトアウトを試したときに色がしっかり取り除けたことから、「ウェット・イン・ドライ」では重ね塗りすることで下の色が大きく溶け出してしまうかなという懸念もありました。しかし、綺麗に重ね塗りできていますね！
ただし、筆で何度もこするのは控えたほうがよさそうです。下の色が浮いてきやすいところもあり、紙の白が出てきたり、ムラができたりするため注意が必要です。
「水彩画用のスケッチブックは高価で手が出しづらい」
「初めての水彩紙にどれを選ぶか迷っている」
そんな方は、気軽に水彩画を楽しめる『ヴィフアール』を試してみてくださいね。今回レビューして感じたのは、「にじみ」や「ぼかし」などがしっかり表現できて楽しめた、ということです。“楽しめた”というのがポイントかもしれません！
やはり、綺麗なにじみができたり、グラデーションが表現できたりすると気持ちも上がりますよね。また、リーズナブルで修正がしやすい水彩紙でもあるため、あまり肩に力を入れずに扱えるのもうれしいポイントです。
製本やサイズ、紙肌の豊富さも魅力なので、きっと理想の『ヴィフアール』に出会えるはず！ 初めての水彩画用スケッチブックにもぜひおすすめしたい逸品です！
紙肌に悩んだ場合は、ぜひ『ヴィフアール水彩紙 アソートパック ＜A4＞』を試してみてください。
